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APPI Great Masters Story 06 誰かの大切な「一回」のために、毎日全力を尽くすことが自分の務め。 誰かの大切な「一回」のために、毎日全力を尽くすことが自分の務め。

笈口 慎也

運営管理部ゲレンデ課ゲレンデメンテナンス[圧雪] 笈口 慎也

 鮮やかにトリックを決めたり、快適なライディングを楽しんだり、多くのスノーボーダーたちで賑わうSALOMON SNOWPARK。全コースのゲレンデメンテナンスをはじめ、このパークの圧雪や造成にも携わっているのが、笈口慎也だ。この仕事を担当するようになってまだ2年目だが、県外でパークの造成を手がけるディガーとして10年余り働いてきた経歴を持つ。「プロ志望だったのですが、ものづくりが好きだったこともあり、ディガーに転向。自分が考えたものを形にできるのが楽しかったですね」と、振り返る。

笈口 慎也
笈口 慎也

 そんな笈口がもともと滑っていたのが、安比。「いずれはここでゲレンデメンテナンスの仕事をしたい」そう思っていた笈口は、5年前に岩手に帰郷し、圧雪の世界に足を踏み入れた。しかし、同じ整備でもパークとゲレンデは全くの別物。基本のコース整備ができなければ話にならない。多少の経験がある笈口だったが、最初はついていくだけで精一杯だったという。

 「毎日雪質も違いますし、風向きも風速も違う。時にはホワイトアウトになって視界もきかない。現場の状況を見ながら、ロータリーの深さや加圧の強さを変えて調整します。臨機応変な対応力、瞬時の判断力、そして視野の広さ。いろいろなことが求められる仕事です」。隊列を組んで圧雪する時は、常に周りの動きに気を配る。自分がつまずけば、後列の圧雪車すべてに影響が出る。ピンと気を張りつめたまま、夜10時から夜通し朝まで作業を続けるのだ。

 「ベテランの先輩たちは、目の前の圧雪だけでなく、つねにその先を読んで動く。どんな状況の時にどうすればいいか、全部わかっているのがスゴイ」。ゲレンデメンテナンスは、スペシャリストが集まる職人の世界。一人ひとりやり方も違えば、感性も違う。自分で考え、自分で工夫し、自分なりのやり方を見つけていくしかない。だから、面白いと笈口はいう。

 「技術にしろ、機械の修理にしろ、毎日学べることがあるから楽しくて仕方がない。実力がつけば経験に関係なく、きちんと認めてくれます」。最初は一番前だったポジションが、最近は一番後ろを任されるようになった笈口。直接お客様に褒められる機会はないが、ディガー時代からずっと自分に言い聞かせてきたことがある。「自分たちにとっては毎日のことですが、お客様の中には1回しか安比に来られない方もいます。その大切な1回のために全力を尽くす。そんな思いでゲレンデ整備に向き合っています」。