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APPI Great Masters Story 02 地道な努力の結晶が、安比の品質をつくる。雪を操る男たちのゲレンデに込める思い。 地道な努力の結晶が、安比の品質をつくる。雪を操る男たちのゲレンデに込める思い。

三浦  昇

運営管理部ゲレンデ課ゲレンデメンテナンス[人工降雪] 三浦  昇

 シーズンインの当初は、常に雪づくりとの闘いだ。雪が積もり始めたばかりのゲレンデは、気温の上下によって雪かさが変わる不安定な状態。加えて、スキーやスノーボードの滑りによって雪も削られる。そんな時に頼りになるのが、雪を操る男たち。人工降雪機で安定したゲレンデをつくり、快適な滑りを支える影の立役者である。「人工降雪機は、気温−2℃以下、湿度70%以下にならないと満足な雪の結晶はできません。夜に冷え込んだとしても、朝に気温が上がればすぐ溶けてしまう。一番雪を必要としている時期が一番難しいんです」と話すのは、降雪機での造雪を担当する三浦昇。今の職場に移って2年目だが、勤務歴は30年。あらゆる部署での経験が豊富で、安比を知りつくしているベテランだ。

三浦  昇
三浦  昇

 一晩の造雪に携わるメンバーは3名。お客様が最も多いメインゲレンデ、白樺ゲレンデが仕事場だ。まず見極めるのが、その日のゲレンデの状態と風向き、気温、湿度。どの箇所の雪を厚くするか、設置場所の割り振りを考え、7台の降雪機をセッティング。斜度があり雪が滑り落ちやすい場所や、たいらで雪の融けやすいところに雪を積もらせ、ゲレンデを修正していくのだ。

 「人工降雪機は40〜50mぐらい先まで雪を飛ばせるんですが、自動的に作業してくれるわけではありません。飛ばし方で雪質が微妙に変わりますし、その日の風速や風向きによっても調整が必要になってくる。風が吹き荒れる日は、出ずっぱりで機械に張り付きます」。暗闇の中、電灯を照らしながら雪の状態をチェックし、降雪機を調整する。風向きに合わせて、雪を飛ばす方向を変えていく。身一つで立ち働く三浦たちを、−10℃にまで冷え込む寒さが襲う厳しい作業だ。

 造雪はその時々の状況に合わせて行うように思うかもしれないが、実はそうではない。長いシーズンを見据えた、ゲレンデの基礎づくりという重要な側面も担っている。「できるだけ長く滑りを楽しんでもらうためには、しっかりゲレンデの基礎をつくらなければなりません。下地のバーンを氷にして層を厚くし、その上に雪を積もらせる。圧雪車とのタッグでベースをつくっていくんです」。あって当たり前と思われる雪、しかし、ゲレンデにとって一番大切な雪。どんな状況であっても、雪と格闘する男たちがいるからこそ、我々は快適な滑りを楽しむことができる。このゲレンデに積もる雪は、「常にいいコンディションでお客様に楽しんでもらいたい」という三浦たちの努力の結晶でもあるのだ。