このページの先頭へ

APPI Great Masters Story 03 どんなトラブルも自分の手で解決する、リフトの安全を守る男たちのプライド。 どんなトラブルも自分の手で解決する、リフトの安全を守る男たちのプライド。

高山 和也

運営管理部索道課 高山 和也

 「高山さん、おはよう!」と、毎朝声をかけてくるお客様がいる。ゴンドラの朝一番乗りを目指し、毎日スキー場に通ってくる顔なじみだ。「おはようございます!今朝も早いですね」挨拶を返しながら、今日一日の無事と安全を心に誓う。気の引き締まる瞬間だ。

 高山和也が所属する索道課は、リフトの点検・整備・運行を担当する部署。早朝のゲレンデ巡回に始まり、8時30分から20時の営業終了まで、全コースのリフト運行を一手に担う。各リフトには、運転手・監視係・乗客係が配置され、その指揮を執りながら80人ものリフト係を取りまとめるのが高山の仕事だ。

高山 和也
高山 和也

 「その日によって天候が違いますし、朝の冷え込み具合も違います。凍り付いたリフトをいきなり動かせば、リフトの機械装置を損傷させる恐れがあるので、1cm、1cm、加減しながら動かしていくんです」。霧の濃い日はリフトのスピードを調整し、雪が多い日は道なき道をかき分け、支柱を1本1本回って索輪の雪を下ろす。

 「いつも頭にあるのは“安全第一”です。時としてトラブルが発生する場合がありますが、それを防ぐためには日々の点検・整備が欠かせません。冬の作業は過酷ですが、お客様の安全を担っているのは自分たちですから」。

 索道部の仕事は冬に限ったことではない。オフシーズンである夏場にリフト回りの設備をどれだけ丁寧にメンテナンスするかで、冬場の作業が変わってくるという。「シーズンの終了とともに来シーズンの準備が始まります。多いリフトで200個ほどある搬器を全部外して点検・整備。リフトの支柱に登って、一つひとつワイヤーロープや索輪をチェック。やることは山ほどありますね」。

 機械好きでいろいろなものを自作するメンバーが揃う索道課では、多くの設備を自前でメンテナンスするのが基本。メーカーに外注するスキー場もある中で、自分たちの手で整備することにこだわるのは、どんなトラブルにも迅速に対応できる技術と体制を整えておきたいからだ。

 「リフト会社が行う勉強会や電気設備を学べる講習会に参加して、できるだけ知識を吸収しようと思っています。自分の幅を広げていけば、現場で必ず役に立ちますから」。お客様を安全に運ぶのは自分たち。その誇りと熱意を乗せて、今日もリフトは快調に動いている。