このページの先頭へ

APPI Great Masters Story 01 つねに、今日を超えるゲレンデを。向上心を情熱に変える縁の下の男たち。 つねに、今日を超えるゲレンデを。向上心を情熱に変える縁の下の男たち。

中軽米 久

運営管理部ゲレンデ課ゲレンデメンテナンス[圧雪] 中軽米 久

 ナイター営業を終え、ゲレンデが静まり返った午後10時。コース整備を担当するゲレンデメンテナンスチームの一日は、この時間から始まる。メンバーは総勢14人。広大なゲレンデに対し決して多くはない8台の圧雪車を駆使し、200万㎡以上にもわたるすべてのコースを毎日10時間ほどかけて整備していく。

 「一度も休まず、朝までぶっ通しで作業しますから、体力と気力が勝負。無線で連絡を取り合いながら、圧雪の不具合をカバーしていきます」と話すのは、チームを率いる中軽米久。新人の育成、メンバーのシフト管理、圧雪車のメンテナンスなどを一手に引き受ける、この道30年のベテランだ。

 ひとくちにコース整備といっても、ただ雪をならせばいいわけではない。地形、気候、風向き、雪質などに加え、日々の天候やゲレンデの状態、スキー大会の有無などによってコース整備のプランが変わってくるという。

中軽米 久
中軽米 久

 「毎日パトロールからゲレンデ状況について情報が回ってくるのですが、それを踏まえてその日の圧雪を考えます。アイスバーンが生じている場合は、氷を深く掘り、細かく砕いてグルーミングする。段差のあるところは、起伏が出ないよう何度も手直しする。圧雪の境目がなく、フラットな一枚バーンに仕上げるよう心がけています」。

 日々の圧雪に向き合う一方で、シーズン当初から念頭に置いているのが、春先まで長く楽しめるゲレンデづくりだ。1年のゲレンデ生命は圧雪の技術にかかっているとも言われ、スキー場の癖やコースのすべてを知り尽くしていなければ年間プランを立てることはできない。「安比は、極上のパウダースノーである反面、軽くて風に飛ばされやすい。希少なパウダーを効率よく固め、どれだけ維持できるかは、我々の腕にかかっています。春先に融けやすい所は、早い段階から厚めにしておくなど、先を見据えた手だてが大切なんです」。

 山頂からノンストップで滑降できるゲレンデは全国でも珍しく、安比の醍醐味の一つ。この起伏のない美しいゲレンデを支えているのは、夜を徹してコース整備に情熱を注ぐメンテナンスチームに他ならない。

 「自然相手の作業なので、日々勉強、試行錯誤の毎日です。お客様に喜んでいただけるように、常に向上心を持ち続けることが大事だと思います」と語る、中軽米。誰に見られることもない深夜の作業の中、ただひたむきに雪と向き合う男たち。妥協を許さない真摯な姿勢が、安比のゲレンデ品質を支えている。