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APPI Great Masters Story 05 お客様にいかに楽しんでもらえるか。一人ひとりの満足と達成感を探る。 お客様にいかに楽しんでもらえるか。一人ひとりの満足と達成感を探る。

藤澤 弘之

安比スキー&スノーボードスクール・インストラクター 藤澤 弘之

 昨年、創設30年を迎えた安比スキー&スノーボードスクール。SAJ(全日本スキー連盟)、SIA(日本職業スキー教師協会)、JSBA(日本スノーボード協会)の3団体が同居し、それぞれに所属する30名以上のインストラクターが、日々のレッスンを担っている。

 その中でSAJに所属する藤澤弘之は、インストラクター歴22年のベテランだ。「3つの団体が一つ屋根の下に同居するスクールは、全国でも珍しい。それぞれ検定のやり方も違うのですが、お互いのいいところを話し合ってレッスンに取り入れるなど、とてもオープンな雰囲気です」。

藤澤 弘之
藤澤 弘之

 安比のスクールには、子ども向けレッスン、大人向けレッスン、アカデミーコースなど様々なプログラムがあるが、藤澤が主に担当するのはプライベートレッスンとゆっくり滞在して上達を目指すステイプラン。

 「私の場合、リピーターのお客様がほとんどで、なかには20年以上もレッスンに通ってくれるお客様もいます。若い頃からのお付き合いですから、お客様を指導しながら自分も育てていただいたと思っています」。

 スキー指導というと技術重視に思われがちだが、それだけではない。常に藤澤が心がけているのは、第一に怪我をさせないこと。そしてお客様自身が気持ちよく、快適に滑りを楽しめること。立ち姿、歩き姿を見ただけでおおよその欠点を把握するという藤澤だが、正しいフォームや滑りを教えるだけが指導ではないという。本人が不快を感じるようであれば、多少ゆがんでいても敢えて直さない。

 「技術に偏った指導をすると、滑ることが苦しくなってくる。スキーの楽しさを知ってもらいたいのに、辛い体験になってしまっては逆効果ですから」。

 生徒の一人に、89歳の男性がいる。高齢のためリフトを1本上がって降りてくるだけで、2時間はあっという間に過ぎてしまう。「滑ることだけでなく、会話を楽しんだり、景色の素晴らしさを楽しんだり、いろいろな角度からスキーを満喫していただく。人それぞれ求めるものが違いますから、お客様の気持ちに立って、いかに満足と達成感を感じてもらえるかを考えています」。
 スキーを通して素晴らしい自然を体感でき、子どもからお年寄りまで楽しめることが、安比の醍醐味という藤澤。この環境に惚れ込んだ自分が感じる喜びを、お客様にお裾分けできることが何よりうれしいと話してくれた。