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APPI Great Masters Story 04 常に先を読むことがパトロールの鉄則。予測の積み重ねがゲレンデの安全を守る。 常に先を読むことがパトロールの鉄則。予測の積み重ねがゲレンデの安全を守る。

渡辺 昭平

運営管理部ゲレンデ課ゲレンデサービス[パトロール] 渡辺 昭平

 ゲレンデという場において、残念ながらアクシデントはつきものだ。夢中になり過ぎてコースを外れてしまうこともあるし、転倒して負傷してしまうことだってある。そんな時に即座に駆けつけてくれるのが、ゲレンデサービス課パトロール本部のメンバーたち。訓練を重ね、豊富な経験を積んだ13人が、常にお客様の安全を守っている。

 彼らを率いる渡辺昭平が、この道に入ったのは20年前。パトロールのアルバイトをしたのが、きっかけだった。自分の体を張って人命を守る姿に惹かれ、力と知恵を合わせて救助することに大きなやり甲斐を感じた。以来、この仕事に「ハマった」という。

渡辺 昭平
渡辺 昭平

 パトロールの一日は、早朝のメインコースの試業点検から始まる。スノーモービルで山頂まで上がりながら、天候や雪質の状態をチェックし、一日のプランを立てる。「朝の柔らかな雪が、1〜2時間にはデコボコの状態になってしまうこともある。常にゲレンデの状況を予測して、危険箇所を想定することが大切なんです」。

 山頂には常時4人が待機。通報が入れば、まず一人が先行隊として現場に急行し、怪我の状況等を把握。必要であれば救護ボートや救援サポートの要請を行うため、瞬時の判断力と対応力が求められる。「救助の現場で一番大切なのは、冷静に状況を見極めること。どんな場合でも迷わずに判断できるか。これに尽きます」。

 コース内外のすべてが頭の中に入っているという渡辺は、夏場のゲレンデ管理の際も冬山のコースを重ねながら作業を行うという。「下草を刈りながら、ここをこう直したらもっと滑りやすくなるなとか、イメージが沸いてきてしまう。山のすべてを知りつくしているとい自負もあって、もはや“俺の山”という感覚です(笑)」。夏はオフシーズンではなく、冬のための大事な準備期間。だからこそ夏もまた楽しいと、渡辺は笑う。

 「パトロールをやっている限り、向上心と探究心を持ち続けることが大事。新しい技術はないか、ヒントになるものはないか、いつも吸収できるものを探しています。努力をしなくなったら引退しますね、きっと」。

 ゲレンデがクローズした20時。パトロールのメンバーは、その日最後の巡回に出かける。全コースを隈なく回りながら、山の状況を確認し、明日起こりうる危険性を予測する。どんな場合も、次に備えること。それこそが、安全を守る最大の防御なのだ。